戦車の中から

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劇場版艦これ


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12/12(月)、劇場版艦これを視聴しに札幌へ行って参りました。本当は10日の土曜日に泊まりがけで行く予定だったのですが諸事情より出来なくなり急遽月曜日の放課後に直接行くこととなりました。その点では同志に多大な迷惑をかけてしまった。

 

劇場版の感想を述べたいところですが、先に劇場版と繋がりがあり前の話であるアニメ艦これについての感想を述べたいと思います。

 

視聴してからそれなりの月日が経ってしまっているため、細部が若干曖昧となっていますがご了承下さい。

 

まず総評としてはちょっともったいない作品、テストでいうなら50点くらいの点数といったところです。

 

もったいないと思った理由としては以下の点があげられます。

 

1, 提督が存在するけれど姿が一切見えない

まず物語の始めとして艦娘ド新人の吹雪が呉鎮守府の提督に呼ばれて所属するのですが、呉に来て吹雪が提督に挨拶をするシーンで提督の姿が出てきません、声もありません。ただ、その後の会話から挨拶が成立している様子からそこに提督が存在しているのは確からしい模様。この後も吹雪を励ましたり、長門に指令伝達をしたりするのですがそこでも姿が出ません。そのせいもあって端から見ると実質艦娘が提督という虚に話しかけてたり、長門が提督代理を受け持っていたりする状態となっています(後半では実際に提督が失踪して提督代理となるのですが)。

個人的な趣向ですがどういった提督が出てくるかを楽しみにしていた自分としてはこれはちょっと残念なところでした。後、戦術の立案や兵站管理、大本営と艦娘との板挟みに苦悩する提督を見たかったというのもあります。さらに艦娘の中に提督Love勢というものがあるのですがどうして提督に惚れたのかを知りたかったのもあります。

 

2, 如月の轟沈

これはアニメ艦これを見たことない人や艦これ自体をやったことない人ですら知っているかもしれないぐらいに騒ぎになったものです

自分は敵艦載機の執念や戦場の油断ならない緊張感があって轟沈の演出自体は良いと思ったのですが、それまでの導入とその後の扱いがちょっと雑なのが否めなかったです。問題の轟沈は3話目ですがその如月が登場するのも3話目で、睦月の友人としてパッと登場してすぐに沈んでしまう具合になっています。せめて序盤に沈めるなら1話から頼れる先輩として登場して某魔法少女よろしく沈んでたらなと考えてしまいます。その後も吹雪や睦月にある程度のショックを与えるも轟沈という一大イベントをうまく使えてない気がしました。(この消化不良が後の劇場版で解消されるのですが)

 

3, カレー回

1クールアニメにとって峠となる6話目が本筋から離れた第六駆逐隊がカレーを作る回というものだったのが微かに疑問でした。この回単体の評価はいいのですが前後の流れを切るように入ってしまっているため、別にOVAで良かったのではと思っています。この回の時間があれば本筋を少しでも深くすることが出来たのではと。

 

4, 大鳳の登場

前述の通り物語の終盤になって深海棲艦の空襲により鎮守府が壊滅し、提督が行方不明になるのだが、最終話で大鳳を引き連れて戻ってくる(しかし姿は見えない)のだが、キャラクターに詳しくなければ誰だお前状態である。

 

5,設定

物語の後半で艦娘は二次戦中の記憶を継ぎ、その戦史の通りになるような修正力が働くという設定がそれとなく急浮上するのですが、出てくるタイミングが遅くもはや後付け設定みたいになっているのがもったいない。

 

6, 北上の胸

これは個人的問題なので割愛する。

 

 このように公式上ではイラストしかなかった彼女らがアニメという枠で動いてくれるというのは嬉しかった反面残念だと思わざるを得ないところがあったというのがアニメ艦これの感想です。

 

なんか色々やろうとしているなというのは感じ取れたんですけれどね。

 

そしてそれに対し続編でもある劇場版艦これはコンセプトが曖昧だったアニメ艦これに対し、はっきりとした目的を持って描かれています(劇場版だから当然か)。

 

 以後はネタバレに類するのでご注意を。

1, 提督の霊圧が消えた

アニメ艦これでは提督はそこにいるけれど姿は見えないというまるで幽霊のような扱いでした。それが、劇場版では舞台が呉からショートランドに移ったためか姿どころか存在が消えます(と言っても提督がいないことになったわけではない。)。

提督の姿を見たいという欲求は叶いませんでしたが、姿が見えないのに存在感はあるという奇妙な存在がなくなったことで物語に集中しやすくなりました。ちなみに、司令塔はアニメと同じく長門が務めます(もはや長門が提督でいいのでは)。

 

2, 如月の轟沈という伏線がやっと回収された

アニメ序盤で沈んだものの最後まで回収されずもやもやした状態だった如月の轟沈が劇場版でやっと意味を成します。具体的に言うと序盤で倒したワ級から轟沈したはずの如月が回収されるのですが、帰ってきて良かったねで終わらず主人公である吹雪と同等かそれ以上に物語のキーパーソンとなります。声優の演技が非常に濃いシーンもあってアニメ艦これで報われなかった如月提督の魂がやっとこれで報われるのでないかと思います。

 

3, 全体を通してシリアス

劇場版というアニメと違い回毎に区切られないものだから当然と言えば当然なのですが、物語は終始シリアスに進行していきます。後、艦これの艦娘が戦中の艦の記憶を引き継ぐものという設定のせいか、オカルト的、スピリット的な雰囲気を漂わせています。そういうのが苦手な人にはおすすめ出来ないですが自分は嫌いじゃないどころか好きな方なのでここは楽しめました。

 

4, 主要キャラクター登場時に軽い説明がつく

アニメ艦これの欠点として登場時に名前の紹介などがないため、艦これを知らない人が見ると誰が誰だかわからないというものがありました。これが劇場版では改良され主要なキャラクターが登場すると名前や艦型、所属等の説明がテロップで付き、あまり艦これを知らない人でも比較的分かりやすくなっています。とはいえ登場する人数が多かったり少しの時間しか登場しないキャラクターもいるため、ゲームやアニメなどでキャラクターに関する前知識をある程度でも身に付けてから視聴した方が物語に集中しやすいかと思います。

因みにアニメ艦これ終盤で殴り込みで登場した大鳳は何故か劇場版にはいませんでした。

 

5, 設定

アニメ版では設定がぼんやりしていましたが劇場版では前面に押し出しているため、途中途中で引っ掛かることがないかと思います。公式の出した艦これの答えと言っても過言ではないです。

 

6, 北上の胸

劇場版では水着シーンはないためそういうのを気にしなくて済みます。やったね!

ただし、吹雪に関しては物語の邪魔にならない程度のサービスシーンがあります。

 

7, 天龍が抜刀する

アニメ版艦これでは近接武器を装備したキャラクターを意図的に登場させてないのではと言われていましたが、劇場版では刀を装備している天龍が登場し、深海棲艦を叩き切ってくれます。天龍提督は必見です。

他にも空母枠では弓矢式ではない式紙式の龍驤が登場し発艦シーンを見せてくれます。

 

といった感じに劇場版は主軸の部分もその端々の部分も楽しめる仕上がりになっているのではないかと思います。

 

ただ前にも述べたようにある程度の前知識がないと楽しめない部分もあるのでもし劇場版艦これが初めてとなる人がいるとしたら、先にアニメ艦これを視聴した方がいいかと思います。